私が所属している埼玉県議会の福祉保健医療委員会で先ごろ、静岡県立静岡がんセンター(同県長泉町)を視察し、がん医療のあり方について、先進的な事例を学んできました。
同センターは2015年、国内では初めてとなるAYA世代病棟を設置しました。がん細胞だけを集中的に破壊する「陽子線治療」という高度な医療を提供しているほか、チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)と呼ばれる、子どものケアを専門的に行う職員を病棟に配置するなど、先進的な取り組みを進めているのが特徴です。
AYAとはAdolescent and Young Adultの略で、思春期や若年世代を指し、国ごとに定義は異なりますが、15歳から39歳が対象とされます。AYA世代のがん患者は、治療中やその後の生活の中で、就学、就職、就労、恋愛、結婚、出産など人生のターニングポイントとなる、さまざまな出来事と向き合う機会が想定され、大人・高齢のがん患者とは異なる、AYA世代特有の問題があるとされています。このため、よろず相談などの窓口を設け、多職種チームで支援しているとのことです。
この世代のがんの特徴として、多臓器にまたがることや、小児型のがんと大人型のがんが混在すること、5年生存率の改善の割合が他の世代に比べて極端に低い状況にあること、加えて、この世代には社会的な支援が乏しいことなどが挙げられます。このため、疾病ごとにきめ細やかな治療が行われており、診療科の垣根を越えて、多職種の専門スタッフで対応しているとのことです。
CLSは、Association of Child Life Professionals (ACLP:米国チャイルドライフプロフェッショナル協会)が認定する資格です。医療の現場で、こどもや家族に心理社会的なサポートを提供する専門職です。同センターでは、常勤のCLSが2名在籍し、その専門知識や技術を用いて、子どもやAYA世代、その家族へ幅広い支援を提供しています。例えば、子どもの生活の中心である遊びを通して不安を和らげ、子ども本来の発達を支援することや、どんな環境でも、子どもと家族がその家族らしくいられることを目指して活動しているそうです。
本県にも、伊奈町に県立がんセンターがあります。視察の成果を本県での医療施策に活かしていきたいと考えています。

